帽子材料の説明

夏 物 帽 体

線状の素材を帽子の形に編んだ、帽子製造専用の材料。

素材には、樹皮,木質内繊維,草 等 天然繊維を用いることが多く、 染色する場合は天然繊維のリグニン(膠)質やセルロースに染料を含
浸させる為、原理的に高い堅牢度はのぞめない。立体的に(どの方向から見ても)なめらかな線で仕上げることが出来、 型くずれしないことが共通する特長。

編み方は石目編み(平編)とアジロ編み(綾編)が一般的だが、その 他特殊編みや万国(バンコック)と呼ばれる機械編みの帽体もある。バ ンコク帽体以外は手編みにより1つ1つ作られる労働集約的な、一種 の工芸品といえる。

ブンタール(パラブンタール,バンタル)(Buntal,Parabuntal)

フィリピン産ブンタールファイバー(ココヤシの枝の芯)を裂かずに丸 のままアジロ編みにした帽体。
天然繊維であるが故に、様々な太さが混ざった状態でフィリピンから 出荷される原料ブンタールファイバーを、中国で太さ別に手作業で選 別した後、手編みで帽体に仕上げてゆく。1つの帽体を編み上げるの に2ヶ月・人かかる為、帽体は大変高価なものとなる。

繊維を丸で使用する為、染色には手間と時間がかかるが、染め上が りの発色は非常に良く表面光沢の美しい最高級の帽子になる。

シゾール(Sisol)

マニラ麻を裂いて石目又はアジロ編みにした帽体。純白に漂白出来 る為、染色の自由度が高い。
高級品ではあるがブンタールに比べれば価格が低く、制帽などにも 広く使われている。

天然繊維帽体の染色は何れも、精錬(アク抜き)→漂白(晒し)→染 色(染め)の3工程を経なければならない。帽体を染色できる染工場は 世界的に減少しており、職人の高齢化も著しい。

帽体

ブレード(Braid)

定 義 (組物)

長尺の3本以上の繊維を長さ方向に鋭角に組み合わせたもの。また は、織物・編み物・縄打ち・フェルト・不織布を組み合わせたもの。但し、 テープ,ロープはブレードとはいわない。

機械(製紐機: Braiding Machine)により組んだもの
形態: 奇数組は平打,偶数組は丸打
特殊品: 2交打,3交打,平打×丸打,トーションレース
汎用品: ゴム紐,各種飾り紐,産業資材,消防ホース,電線
ゴム紐4コール9打,6コール13打,12コール25打飾り紐,スピン
(縦糸の入らないもの)の作成も可能。

人手によって組み上げたもの
植物の葉: ヤシブレード,ラファイアーブレード,パンダンブレード
植物の皮: バクバクブレード
植物の茎: 麦わらブレード,モコラブレード
そ の 他: 檜ブレード,アバカブレード

ブレードに使用される主体材料

マニラ麻(捲糸):170~190cmの裂いたアバカ(マニラ麻)をナイロン 分線糸で捲きながら繋ぎ、長尺にしたもの。日本 のブレード業界では大正年間以来、マニラ麻をヘン プ(Hemp)と呼んでいる。因みに経済産業省の 通達により日本での品質表示で麻という表記が許 されているのはリネン(亜麻)とラミー(苧麻)の2種 類のみ。

ラミー,ジュート
和紙(紙糸),綿,絹,麦わら
レーヨン(旭化成工業製アンダリヤ手芸糸)
ナイロン,ビニロン,ポリプロピレン,ポリエステル
羊毛,アクリル

帽子用ブレード

帽子本体の材料としては平らなものを使用することが多い。
バイアス状である為、イセやすく(3次元的にスムーズに曲がる)帽子 の形にするには好都合な材料。
帽子の形に縫い上げるには、一般的な平台のミシンではなく特殊な ミシン(腕ミシン)が必要となる為、そのような設備やそれを扱う技術者 のない地域ではブレード帽子は生産できない。

*資料提供 株式会社サハラ

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